1400年にも亘る製紙の長い歴史を誇るわが日本の「手漉き和紙」を、
洋紙の技術が輸入された後に、手漉きの原料であった楮・三椏の靱皮繊
維をそのまま原料として、手漉きの特性を活かしながら、これを機械に
より大量生産することを図ったものです。その後、原料にはマニラ麻や
木材パルプ、古紙なども利用し、またレーヨンやビニロン、そして無機
質のガラス繊維なども使用して、特徴ある用途に対応した製品の開発に
当たっています。
「機械すき和紙」の最初は明治27年の原田製紙㈱のナプキン原紙でし
た。洋紙が導入される迄は「和紙」という言葉はなく、勿論「機械すき
和紙」もありません。「機械抄き」という言葉は明治の終わり頃から大
正年間で、そのはしりは、洋紙製造業者による昭和6年2月の“和紙同
業会”の発足でした。会員会社は、日本紙業㈱・三菱製紙㈱・小田原製
紙㈱・富士製紙㈱(後の王子製紙㈱)等で、後には中小の会社も加盟し
ています。抄きものは“パルプ半紙”が主な物でした。